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もっさりボサボサ期突入🐧

毎年この時期くらいに訪れる、ペンギンたちの一大イベントがやってきました。

そう、換羽(かんう)です!

換羽とは、古くなった羽が抜け落ち新しい羽が生えてくる現象のことで、通常は1年に1回この時期がやってきます。

ペンギンたちの体はびっしりと生えた防水性の小さな羽に覆われており、これによって水の冷たさから体を守っています。
しかしその羽も日が経つにつれ少しずつ防水性やはっ水性が失われていきます。そうなると水の中に入って餌を摂るペンギンたちにとっては死活問題。
餌を摂る前に体は冷え体力も奪われてしまいますね。

換羽が終わってすぐの頃の羽。
青みを帯びた黒と白く美しい羽が体を包んでいます。
一方、上の写真と同じ個体の換羽前。
黒い部分は茶色みを帯び、白い部分も黄ばんでいますね。


そのため、古くなった羽から新しい羽に変わる必要があります。
ただ、換羽とはとても体力を使うものとされています。
また、羽が生え変わっている間は防水性やはっ水性が失われるため水に入ることはほとんどなくじっとしている時間が増えます。
飼育下のペンギンであれば決まった時間にごはんをもらうことができますが、野生下のペンギンであれば水に入らないということはすなわち餌を取らない、食べれないということにもなります。

体力を使い期間中はごはんも食べられないということなので、換羽の時期が近づくにつれペンギンたちの食欲は上昇していきます。
とにかく我先に我先にとごはんをあげる私たちの元へやってきて、多い時では26羽に対して1日計20kgのアジやイワシをあげることもよくあります。

毎日たくさんのごはんを食べ、毎年換羽が始まる時期辺りになると何羽かのペンギンの体が大きく膨らんできます。
食べて体重が上がったこともありますが、換羽が始まる直前は羽もふわっと膨らんでくるため全身がひとまわり大きくなったように見えます。

体が膨らむと全体的にもっさりとした見た目になります。
換羽の特徴のひとつ。ペンギンたちのフリッパーが普段の倍近く太くなります。体の膨らみに加え、フリッパーがこのようになればもう換羽が始まるものと判断しています。


全身がもっさりしてきたらいよいよ換羽開始。
羽が少しずつ抜け始めます。

こんな感じでボサボサになります。
お腹あたりは羽が抜け落ち、新しい羽が生えかけています。

当館では7月5日に1羽目の換羽が始まりました。

換羽が始まってから終わるまでは個体差もありますがだいたい2週間ほど。

その間はあまり動かなくなる個体もいれば普段と変わらずプールで泳ぐ個体もいます。
食欲も、変わらぬ個体もいれば少し低下する個体もいますね。

全体の換羽が終わるまでおそらく1ヶ月半から長くて2ヶ月。ペンギンたちにとっては大変な時期ではありますが、もさもさのペンギンを見ることができたり新しい羽のペンギンと古い羽のペンギンが同時にいて見比べもできたりする、私たちからするとおもしろくとても興味深い時期でもあります。
また、羽の抜け方もみんなそれぞれなのでこちらでもちょくちょく紹介していけたらと思います!🐧

換羽が始まったペンギンと換羽前のペンギン

飼育学芸員
フジ