294 (再)(続)大敷網漁の魚達⑩カワビシャ

  テングダイに近い仲間で、深海性(100~300m)の魚のようである。大敷網でカワビシャの成魚を見かけたことはないが、幼魚はテングダイの幼魚と共に初夏に入網することがある。テングダイ同様、スレに弱い上、餌についてくれず、良くても半月余りの命だった。しかしある時、状態のいい幼魚が予備槽の中でライブロック(微小生物が住みついているサンゴの死骸など)をついばんでいる姿を見かけた。別の水槽に移してよく見ると、ライブロックから伸び出したクモヒトデの足をねらっていた。「よし、これだ」と初めてカワビシャが餌付いたのをよろこんだのだが、その後間もなく体調を崩して死んでしまった。多分水温の上昇のせいだろうと思っているが、その後カワビシャの幼魚が大敷にほとんど入らなくなってしまって、もう10年が過ぎている。

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