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マガキガイ《展示動物解説》

桂浜水族館の生きもの観察をもっとおもしろく、詳しく‼️
こちらでは水槽周りで紹介しきれない生きものたちの魅力を掘り下げていきます❗️

※生体の健康状態や展示替え等によって展示終了となりご覧いただけない場合もあります。ご了承くださいませ。

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◆標準和名 マガキガイ
◆学  名 Strombus luhuanus
◆分  類 盤足目ソデボラ科(スイショウガイ科)

地方名(高知での呼び名)   チャンバラ貝

◆展示解説文(土佐弁)
高知ではチャンバラ貝というぜよ。
目が飛び出ちょっておもしろい見た目をしちゅうけんど、食べるとうまい!
皿鉢料理に欠かせん貝ぜよ。

◆標準語訳
高知ではチャンバラ貝というよ。
目が飛び出てておもしろい見た目をしてるけど、食べるとうまい!
皿鉢料理に欠かせない貝だよ。

◆解説
似た名前の貝に、生でも蒸してもフライにしてもおいしいマガキ(真牡蠣)というのがおりますが、分類上まったくの別種です。ただ名前が似ているだけで、マガキガイの「マガキ(籬)」とは竹や柴などで編んだ垣根(籬)を指し、名前の由来は貝殻の模様がそれに似ていたからだとされています。

見た目はとても独特で、貝殻の間からにょーんと長い柄が飛び出しており、その先につぶらな目がついています。貝殻の下方にはこの目を出すための切れ込み(ストロンボイド ノッチ)があります。
またゾウの鼻を思わせるような長い口があり、殻の間からこれを伸ばしてコケなどを食べます。

長ーい目と長ーい口。

コケを食べて水槽をきれいにすることからマガキガイは水槽のメインとしてではなくサブとして入れらることがとても多い生きもので、展示生物として注目されることはあまりないのではないかと思われます。
しかし、高知県では重要な生きもののひとつなのです。

高知ではマガキガイのことを『チャンバラ貝』と呼び、これは貝の蓋となる部分が尖っており、それを動かす様子が刀を振っているように見えたからだとされています。
高知県には海・山・川の幸を大皿に盛り合わせた皿鉢料理(さわちりょうり)という郷土料理があるのですが、マガキガイ(チャンバラ貝)はこの皿鉢料理に必ずといっていいほど入っている貝でもあります。
塩ゆでされたものがおいしく、酒の肴として人気が高いマガキガイは高知の食文化を語るうえでは欠かせない生きものなのです。

桂浜水族館は生きものたちを見せるだけでなく地域の文化を発信する場所でもあります。
生きものたちの見た目から入るのもよし、おもしろい行動から興味を持つのもよし、食べてみたいという想いから入るのもよし、食べたおいしさから興味を広げていくのもよし、何らかの形で展示生物それぞれに興味を持っていただけるきっかけをひとつでも多く発信することがこの地で水族館として活動する私たちの役割とも言えます。

◆スタッフひとこと
私は趣味で水族館巡りをよくするのですが、上でも書いた通りあまり注目されてない印象が強い貝ですね。解説板がないところもあり「あの貝なんて名前なんだろか・・・?」ってなったことが昔ありました。
ただ見た目のインパクトは大きい!
長い目、長い口、つぶらな瞳。「某漫画のキャラクターみたいだ」と言うスタッフもいましたね。
さてこのマガキガイ、高知の居酒屋に行くとメニューのひとつに入っていることもあります。もし貝類が苦手でなければ水族館で見た後に街へ繰り出し、ぜひ味も楽しんでみてください!

水槽底の砂についたコケを食べるマガキガイたち。


【土佐弁解説、魚名板イラスト(館内展示)、note本文、スタッフひとこと】
フジ(飼育学芸員)

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