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彼らと走ってきた道は...

出会いがあれば別れもある。
人生はそれの繰り返しですね。


今回は動物たちのお話ではなく身内話になります。
もしよろしければおつきあいください。


ヤブさんとウラ、
2024年2月に桂浜水族館を卒業する2人。

2人との出会いは2018年(桂浜水族館87周年の年)に遡ります。

2018年3月15日。
この日は水族館の面接日でした。
緊張した面持ちで高知駅からバスに乗り、終点の桂浜公園へ向かう僕。
途中スーツの人が何人か乗ってきて、「この人らも面接行く人なんかな〜」とか考えながらバスに揺られて到着した桂浜。
正直面接が決まった日くらいからずっと緊張しっぱなしですでに膝ガクガクだったのを思い出します。
バスを降りてすぐ、同じバスに乗っていたスーツの人に「もしかして水族館の面接ですか?」って声をかけられました。
なんで答えたかは覚えてませんが、それをきっかけに2人で話すようになり水族館近くまで行ったことは覚えです。あれだけ緊張しまくってた心が少し軽くなったように感じました。

それから面接が始まりいろいろやって終盤らへんに「皆さんは4月1日からの出勤って可能ですか?」という質問が。
[4月1日って2週間ちょっとやん!?これもし決まったらパートやめたり引越し先探したり大忙しやで…。けどそれでせっかく掴み掛けのチャンスを逃すのは・・・]
当時大学を卒業した僕はひたすら水族館方面への就職を目指しいろんなところに履歴書を出しては書類落ちを繰り返す日々を送っていました。
文系卒で繋がりもほぼない、在学中からバイト採用も含め50回以上書類落ちを繰り返しもうこれで最後にしようと決めた時にようやく訪れたチャンス、これは仮に無理だったとしても手を伸ばしておきたい。
質問されたほんの数秒、僕の頭の中はこんな感じでした。
すると横から「自分行けます!」って声が上がり、咄嗟に「自分も大丈夫です!」と答えた僕。
先に答えられたけどなんとか手を伸ばせた。あとはどうなることやら・・・?
そんな感じで面接が終わりました。

その数日後、面接終わってすぐ東京へ行きそこで過ごしてた僕のもとに届いた採用のお知らせ。
「やった!」と喜んだのも束の間。帰ってすぐ大急ぎで引越しの準備をし2週間で2往復半実家と高知を車で行き来して家を探し家族やお世話になった方々のもとを訪れてお礼と別れを告げ初めての一人暮らしを開始して迎えた出勤初日。
入ってすぐなのに業務が多忙すぎて毎日ヘロヘロでした。
そういえば、入る直前に自分ともう1人の計2名が採用されたって話を聞いていました。
しかし入社から数日、その人はまだ水族館に顔を出していませんでした。
それからさらに日が経って4月20日ごろ、ようやく同期が水族館にやってきました。
それがバスを降りた時声をかけてくれ、同じ面接を受け、誰よりも早く「行けます!」と答えたヤブさんでした。

顔を見て最初に「あ!!笑」ってなりました(笑)
そういえば、面接終わりのバスの中で面接の手応えがどうだったかって話を早々に切り上げてヤブさんからこう質問されたんですよね。

「みなさんって今仮面ライダー見てますか?」って(笑)

えぇ??なんやその質問は!?
面接どうだったかとかよりそれ?笑
まぁ小さい頃はハマってましたけど…
驚きつつどのライダーまで観てたとか誰が好きだとかを駅に着くまでずっと話してました。

面接が始まる前からお世話になり、終わった後もその場を和ませてくれたヤブさん。
彼のすごいところはいきなり会った人とでもすぐに打ち解け場を和ませられる人としての柔らかさ。
採用されるのはヤブさんみたいな人なんだろな〜って考えつつ、もしこの人と働けたら絶対楽しいだろうなって思いもあったんでとても嬉しかったです。


またあとから知ったことなんですが、自分たちが面接を受けていたとき水族館に実習に来ていたのがウラだったんですよね(緊張しすぎて顔見てなかった…)

その約半年後にウラが入社しました。
同期であり初めての後輩。

けど正直僕は2人に圧倒されまくりでした。
とにかく話すのが苦手な僕。
それとは対照的に明るく声が大きくコミュニケーション能力も高い2人。
どんどん周りの人と仲良くなったり外のいろんなイベントへ出ていったりする2人が羨ましくも思っていました。

2人とも僕にないものばかりを持っている。
けどヤブさんはいつも明るく接し、ウラは誰よりも自分を慕ってくれました。

3人とも魚類担当として入社したんですが、特にウラの魚愛には驚かされました。魚の知識はかなりのものだし会ったことない魚や珍しい魚を見ては目を輝かせさらに知ろうと没入していく。自分も多くのことを学ばせてもらいました。

2019年4月。僕は1年間の動物園出向。
その年にまるのん、ヤブさん、僕を中心とする「藤井の会」が結成。
もともとヤブさんの住んでいた家は仮面ライダーが映らず、そしてなぜか僕のとこは映るので録画してその日の仕事終わりに観るようになり、そこにまるのんも加わりだんだん仮面ライダーやらラブライブ!シリーズやらをピザとソフトドリンクとお菓子とを囲んで見る会に発展していったのが始まりです。
当初この集まりに名前はなかったんですが、僕がいないあいだにうちで集まって好きなことを全力で楽しむっこの集会に「藤井の会」という名称がつけられていました(笑)
(ここらを語るとたぶん1万字は余裕で超えるのでまたの機会にでも・・・)
最初こそ週1回仕事終わりうちに集まるくらいのペースだったんですが、それが日々のひとつの楽しみとなり数日間連続で集まったり合宿したり、仕事が終わったその足で岡山まで行ってラブライブのコラボカフェを堪能したりとほんと濃い日々に変化していきました。
なんだかんだ僕が今も頑張れているのはこの会があったからですね。

ウラはこの会には所属してませんでしたが、一緒にご飯行ったり映画を見に行ったり、車中泊して遠くの動物園に行ったこともありました。
他のところの展示を見ては「うちでもこんなのやってみたい!」「取り入れたら絶対おもしろい!」と熱く語り合った日がほんと懐かしく感じます。

途中からヤブさんは海獣担当へ。
動物園から帰ってきた僕はウラのもとについて魚類やペンギンなどを一緒にやり、僕とペンギン・カピバラ・リクガメが独立して、それぞれがそれぞれの担当動物たちと向き合う日々。
そして先日、そんな日々にひとつの幕が降りました。

5年以上同じ時を過ごしていたのでやっぱり寂しいって思いはありますね。
けど彼らには新たな道/新たな目標が待っていますし僕らにもまだまだ走り続ける道がある。
場所は違えど何かに向かって前進していくことは同じです。
そして進み続けていたらいずれまたどこかでお互い成長した姿で会えることでしょう。

Thank you, FRIENDS!!
会えてよかった。
出会えた奇跡とこの絆は絶対に消えたりしない。

P.S.
彼らがきっかけでどうぶつたちに興味を持ったという方はどうかこの先も「どうぶつが好き!」という気持ちを大切に、そしてさらに興味の幅を広げていってください😊


※実は2年前(2022年)の節分の日の写真です。


桂浜水族館87期生
飼育主任学芸員
フジ