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マアジ《展示動物解説》

桂浜水族館の生きもの観察をもっとおもしろく、詳しく‼️
こちらでは水槽周りで紹介しきれない生きものたちの魅力を掘り下げていきます❗️

※生体の健康状態や展示替え等によって展示終了となりご覧いただけない場合もあります。ご了承くださいませ。

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◆標準和名 マアジ
◆学  名 Trachurus japonicus
◆分  類 スズキ目アジ科

◆展示解説文(土佐弁)
土佐沖で捕れる新鮮なアジをしらったで焼いて、レモンと醤油をかけて食べてみいや。
げにまっことこたえられんちや。

◆標準語訳
土佐沖で捕れる新鮮なアジを何もつけずそのまま焼いて、レモンと醤油をかけて食べてみてね。
たまらんほどおいしいよ。

◆解説
一般的に「アジ」と言えばほとんどの場合マアジのことを指します。

「アジ」という名前は味が良かったからアジになったという説があります。
またアジを漢字で書くと「鯵」。これは味がおいしすぎて参ってしまったからという説や旬が旧暦の3(参)月であるからといった説などがあります。
しかしこれらはいずれもたくさんある説の中の一部に過ぎないためもしかするとほかにもおもしろい説があるかもしれませんね。

アジの仲間(アジ科魚類)の多くは尾に近い部分に稜線(りょうせん)またはぜいごと呼ばれる硬いウロコを持ちます。
このウロコは大型の捕食者から身を守るためのものと考えられています。
これがなかったら無抵抗のまま丸呑みされますが、硬いウロコを獲得することによって吞み込まれにくくなり生存率を上げてきたものと思います。しかし野生にはそんなの関係なく丸呑みしたり向きを変えて刺さらぬよう呑み込んだりするような動物もいるため自然界の厳しさを感じざるを得ませんね。

日本では北海道から九州までの日本海側と太平洋側に幅広く分布し、沿岸や沖合に生息します。
同じマアジでも沖合を回遊するもの(回遊型または沖合回遊型)と沿岸に定着するもの(居つき型または瀬つき型)がおり体の色や体形が異なります。
前者の体は黒っぽく体高は低いのが特徴で、「クロアジ」とも呼ばれます。
一方後者は体が黄色味を帯びて体高が高くなるのが特徴です。こちらは「キアジ」とも呼ばれます。
漁獲量は回遊型の方が多く居つき型は少ないものの味は居つき型の方がおいしく、いくつかの地域ではブランド化されています。

マアジはどこのスーパーに行っても必ずといっていいほど見かける魚で、値段も比較的安く多くの人に受け入れられやすい大衆魚の代表格といえます。
食べ方は刺身にフライ、塩焼きに煮つけ、タタキ、干物と幅広く、そのどれもがおいしい魚です。

◆スタッフコメント
「魚料理で好きなものは?」と聞かれると「アジフライ!!」と答えるほどアジが大好きな私。高知には通常のアジフライよりも大きくがりっとした食感が楽しめる「ガリあじ」というアジフライがあります。
ボリューム満点でサクサクを通り越した食感とニンニクの効いた味がもうたまらん!!私の胃がもっと大きければ2枚でも3枚でも食べたくなるほどおいしい高知の食べ物のひとつですね。ちなみに桂浜水族館のフードストアでも取り扱いがあります(2024年8月末現在の情報です)ので、気になった方はご来館いただいた際にぜひ食べてみてください!
さて、アジと言えば私たちがとてもお世話になっている魚でもあります。おいしくいただかせてもらっていることもそうですが、水族館では多くの動物たちのごはんとしても利用させてもらっています。
桂浜水族館でアジを食べるのはトド、アシカ、オットセイ、ペンギン、ウミガメ、アカメや大水槽の魚をはじめとした魚たちですね。
アシカやペンギン、アカメたちはアジを丸呑みしますし、ウミガメや大水槽の魚たちは2、3等分に切って与えています。最近はエサの種類を変えていますが以前は館内の魚たち用にアジを口の大きさに合わせて小さく切ったり3枚におろしたりして与えていました。多い時だと1日で100匹近いアジを切ったりさばいたりする日もありましたね。入社当時、ぜいごで手が傷だらけになったのも良い思い出です。
食べる話ばかりになってしまいましたが、水族館では生きたマアジを見ることもできます。食卓に並んでいた魚がどんな見た目でどう泳ぐのか、いろんな角度から観察してみてください!

飼育学芸員
フジ