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「悪そう」な見た目…?

「これ、悪そうな見た目してるよ!」

あるとき耳にした言葉。

悪そうな見た目?
思わず足を止めて振り向き、その言葉を発した方が指差す水槽に目をやりました。
そこにいたのはカミツキガメ

カミツキガメ

カミツキガメといえば噛む力がとても強いことで知られており、人が噛まれると大怪我をすることもあります😱
もともとは北米にすむカメで、噛む力の強さからメディアなどでは「危険な外来生物」と紹介されることも多い動物ですね。

上の文章にだけ目を通すと、おそらく頭に残りやすいのは「噛む力が強い」「大怪我」「危険」「外来生物」といった言葉だと思います。

カミツキガメがどんな動物なのかあまり詳しく知らなかったら、「大怪我」や「危険」といった言葉を聞くと結構怖い動物を連想するのではないかと思います。

またこれは自身の経験からですが、「外来生物」という言葉は「外国から日本にやってきて悪さをしている生物」と捉えられていることが意外にも多いんだなって感じることがあります。

「カミツキガメ」「噛む力が強い」「大怪我」「危険」「外来生物」
そして「外来生物=悪い生きもの」
こういった言葉やイメージのみでカミツキガメを見てみると、確かに良い印象の動物ではなさそうですね💦
このことから「カミツキガメは悪い動物」「だから見た目も悪そう」と繋がっていくのは何となく理解できます。

しかし外来生物と呼ばれる生きものたちに対して向けられる「悪い」という言葉はあくまで私たち人間基準のもの。

外来種問題として取り上げられる動物とはいえ、もとは人間が愛玩目的(ペットとして飼うことを目的)で本来の生息地から遠く離れた日本へ連れてきた動物。そんな動物を「思ってたよりも大きくなって飼えなくなったから」と無責任に逃す人々が少なくない数いたせいで今日のような問題へと発展しました。

人によって外から連れてこられて本来の生息域とは違うところに放され、けど生きようとした結果、噛む力が強くてそれが人や漁をする道具などに悪影響を及ぼすことから危険な動物と判断され外来種問題のひとつとなってしまった。
こう考えると、他所からやってきた悪者というよりある意味では被害者ともいえますね。

たしかに、噛む力が強いという点は私たちにとって脅威でもあります。
しかしカミツキガメは臆病な性格をしているとされており、こちら側から手を出したり危害を加えたりしなければ攻撃してくる可能性は低いとされています。また噛むのには自分の身を守るためという理由が考えられ、悪意を持って見境なく攻撃してくるような動物ではありません。

なので見かけたとしても距離を取り、刺激しなければ怖い動物でもありませんね。
(これはどの動物にも言えることだと思います。)

断片的な情報だけでなく動物の生態や性格について知識や理解を深めていくと、「悪いやつ」で定着していたイメージは大きく変わるのではないかと思います。

水族館では様々な動物を展示し、そこで暮らす動物たちを通して行動や見た目のおもしろさ、不思議さ、海の豊かさ、終生飼育の徹底、外来種や絶滅危惧種の現状などについて発信しております。

水族館へ来られた際はぜひそういった情報にも触れていただき、ひとつでも多くの学びや発見、興味などを持って帰っていただけたらと思います😊
(海や水の動物について気になったことがありましたらぜひ水族館へ足をお運びください!)

飼育学芸員
フジ