チンアナゴ《展示動物解説》
桂浜水族館の生きもの観察をもっとおもしろく、もっと詳しく‼️
こちらでは水槽周りの魚名板で紹介しきれなかった生きものたちの魅力を掘り下げていきます❗️
※生体の健康状態や展示替え等によって展示終了となりご覧いただけない場合もあります。ご了承くださいませ。
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◆標準和名 チンアナゴ
◆学 名 Heteroconger hassi
◆分 類 ウナギ目アナゴ科
◆展示解説文(土佐弁)
ぬくい海にすむ魚で、高知にもおるよ。
砂の中から体をちっくと出しちゅうけんど、人が近づくとざんじ隠れよる。
食用やないき食べる人もめっそおらんろうね。
◆標準語訳
あたたかい海にすむ魚で、高知にもいるよ。
砂の中から体を少しだけ出しているけど、人が近づくとすぐに隠れてしまう。
食用ではないし食べる人もあまりいないでしょうね。
◆解説
日本では伊豆半島や小笠原諸島、高知県から琉球列島にかけてのあたたかい海に分布し、潮の流れが強いサンゴ礁の砂底に生息します。
砂から出ているのはほんの一部で、全長30cmほどある体の半分以上は砂の中に隠れており、危険を察知するとすぐ砂の中に隠れます。
まれに全身を砂の中から出して泳ぐ姿を目撃しますが、出てくるのは別の巣穴に引っ越しするときくらいで尾を使って器用に穴を掘り、巣穴が崩れてしまわないように粘液を出して固めます。
チンアナゴの「チン」とは日本原産の犬である『狆(ちん)』に似ていることに由来します。
また英名はSpotted garden eelといい、Spotted(スポッテッド:斑点)はチンアナゴの模様を指し、garden eel(ガーデンイール:庭ウナギ)は砂から頭を出す姿が庭は生える植物が育っていく様子を思わせたことに由来しています。
食べれないこともないそうですが、食用として認知されていないため市場に出回ることはありませんし、食べる人もほとんどいないと思われます。
◆スタッフひとこと
現在、両生爬虫類展示室「アキラの部屋」になっている場所は昔「海のギャラリー」という小さな水槽が壁に並んだスペースでした。
そのひとつでチンアナゴを展示していましたが、その時は人が近づくとすぐに隠れてしまいごはんの時以外姿を見せることはほとんどありませんでした。あまりにも姿を現さないので私たちは「砂水槽」なんて呼んでましたし、チンアナゴたちが出でこようものなら「あのチンアナゴが働いてる!!!」なんて小さな話題ににもなってましたね。
今となっては懐かしい思い出です。
この解説を書いた2024年6月時点で展示している、大水槽前のチンアナゴ水槽にいる個体は以前と比べると姿をよく見せてくれていますね。
水槽を叩いて引っ込む姿(怖がって隠れる姿)を楽しむのではなく、ゆらゆら揺れる姿をそっとお楽しみください♪
【土佐弁解説、魚名板イラスト(館内展示)、note本文、スタッフひとこと】
フジ(飼育学芸員)