297 (再)(続)大敷網漁の魚達⑬クロアナゴ 

  1.5mほどの灰色の丸太のようなクロアナゴが数尾泳いでいるのが見えた。船方がニヤニヤしながら「桂浜よ、つれて帰るか?」と声をかけてきた。「ハイ」と答えると「バカ、冗談だ」と云ったように聞こえたが、私は本気で欲しかったので、玉網にギリギリ入りそうな小さ目の個体をすくいあげた。ところが玉網の中で少し暴れた途端に、スルリと抜けてしまったのである。船方は「こわいぞ、こわいぞ」と声をかけてくる。彼等はこのサイズのクロアナゴがいかに危険かを知っていて、私を心配してくれていたのである。玉網には丸く喰い破られた穴。大きな口には針状の歯がズラリと並び、口に入ったものはまっぷたつ!私の指でも喰い切られそうだった。クリクリした大きな目と大きな口が魅力的で、何とか飼育してみたい魚の1つである。しかし以後何回か出会ふ機会はあったが、今のところ手を出せていない。

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