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メジナ《展示動物解説》

桂浜水族館の生きもの観察をもっとおもしろく、もっと詳しく‼️
こちらでは水槽周りの魚名板で紹介しきれなかった生きものたちの魅力を掘り下げていきます❗️

※生体の健康状態や展示替え等によって展示終了となりご覧いただけない場合もあります。ご了承くださいませ。

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◆標準和名 メジナ
◆学  名 Girella punctata
◆分  類 スズキ目メジナ科

地方名(高知での呼び名)  グレ

◆展示解説文(土佐弁)
グレって名前でよう知られとるぜよ。
磯の岩場にすみつかぁよ。
冬にうまい魚で刺身やタタキ、鍋ものでイッパイやると最高じゃ!

◆標準語訳
グレって名前でよく知られてるよ。
磯の岩場にすみついてるよ。
冬においしい魚で刺身やタタキ、鍋ものでイッパイやる(お酒を飲む)と最高だ!

当館屋外プール「おらんくの池」で泳ぐメジナ。

◆解説
青みを帯びた灰色の体をしています。
その体は楕円形で頭部は丸みを帯び、青い目が美しいものです。

日本では本州から九州の沿岸に幅広く分布し、岩礁域に生息します。

食性は藻食寄りの雑食で食べるものは季節によって変わり、夏場は小型の甲殻類や多毛類(ゴカイなど)を、冬場は海藻を食べます。

メジナという名前は主に関東地方で呼ばれていた名前ですが、関西地方や四国では「グレ」と呼ばれることも多く、住む地域によっては標準和名の「メジナ」より地方名の「グレ」の方が聞き馴染みのある名前だと思います。
ほかにもクチブトやクシロ、クロイオ、クロダイなど地域によってたくさんの呼ばれ方をしています。

メジナという和名の由来は諸説あり、目と口が近かったから目近魚(めじかな)と呼ばれそれが転じてメジナになった説などがあります。
漢字は目近魚(眼近魚)以外にも目仁奈(眼仁奈)という字があてられることもあります。

磯釣りでは人気の高い魚で、同じく人気の高いクロダイと双璧をなします。
通常のメジナは30~40㎝ほどですが、中には60㎝ほどにまで成長したものもおり、引きもかなり強くなるのでそれがまた憧れを抱かせます。

食べてもおいしい魚で特に冬のメジナは臭みもなく刺身や塩焼き、煮つけにタタキなどいろんな楽しみ方があります。

日本近海に住むメジナの仲間にはクロメジナオキナメジナという種もおり、特にクロメジナはパッと見ただけだとメジナと区別のつきにくい魚です。
細かく見てみると魚の体の側面には側線という器官があり、側線の上に並ぶウロコがメジナは50~56枚で、クロメジナは57~65枚あります。
これで2種を見分けるには実際に捕まえて数える必要がありますが、ほかにもメジナの鰓蓋(えらぶた)の縁は黒くないのに対してクロメジナのそれは黒かったり、尾柄部(びへいぶ:尾ビレの付け根当たり)がクロメジナよりメジナの方が高かったり、尾ビレの形がほんの少し違ったりと外見上出も見分けられるポイントはいくつかあります。
とはいえ、ほんのわずかな違いですし見慣れない見分けが難しいのに変わりはありませんね・・・。
ちなみにクロメジナは尾ビレの上下がメジナよりも伸びているため「オナガ」という名でも呼ばれます。

飼育下においては丈夫な魚ですが臆病なところもあり私たちが近づくとかたまって物陰に逃げることもあります。
ただしごはんのスイッチが入った途端バシャバシャと水しぶきを立てごはんに飛びついてきます。ごはんのとき何度水をかけられたことか。
他の魚と一緒に展示すると弱い方をいじめるので、一緒にする種は選ばなければなりません。

◆スタッフコメント
メジナとクロメジナ。同じ水槽にいるとほんと見分けがつきにくくて飼育員同士でも「あれはどっちだ?」って話し合いながらがんばって見分けようとすることが多々あります。体の色でパッと分かれば楽なのにな~が本音です(笑)

飼育学芸員 フジ