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Happy Birthday🎉またひとつ歳を重ねたね❗️

今日はヒョウゴベンダペンギン団地で暮らす「ぽん」の誕生日です。

ぽんは2017年2月10日に誕生しました。
ただそのあとすぐ巣から落ちてしまったそうで、当時の担当飼育員が衰弱しきったぽんを見つけて必死に看病し、親に代わってごはんをあげ今では立派なペンギンに成長しました。
2017年生まれのペンギンは高知にゆかりのある偉人の名が付けられているのですが、人の手で育てられたぽんは例外としてその飼育員からもらった名前を背負って今も生きています。

そんなぽんに私が初めて会ったのは2018年のこと。
私が入社した頃はまだ亜成鳥という大人一歩手前の姿をしており、他のペンギンと比べてガーガー鳴いていたのが印象深く残っています。
当時のペンギン担当が魚類チーム所属だったことから、魚類チームに配属された私も何度かペンギン舎に入る機会はあったのですが、その時真っ先に突きに来たのはぽんでした。

私が舎内に入るとガーガー鳴きながら走ってきて突くんですよね。
飼育員になりたてでペンギンの飼育についてよく知らない私にとっては痛いわ怖いわで恐怖の対象でした。

しかし担当飼育員いわく、実は甘えたいだけなんだとか。しゃがんで両腕を広げて待っていると甘えにくるよと聞いたので、怖々しゃがんで待っていたところやはりガーガー言いながら来るのですがいつもと様子が違い私の手に愛情表現の仕草をしてきました。
私がペンギン舎に入る機会は月数回程度と少なかったのですが、それ以来私がペンギン舎に入るとぽんは私の元にやってくるようになりました。
もう1羽、人の手によって育てられたハクという個体も私の元によく来てくれたのですが、ハクとぽんが場所を取り合って小付き合うことはしばしばありました。

そのあと私は1年間水族館を離れて動物園に行くこととなったのですが、1年後帰ってきた時にぽんとハクは私のこと覚えてくれてたんですよね。
素直に嬉しかったですね。

ぽんは私と初めて会ったときも私が担当になってからも他のペンギンとペアを組まない甘えたペンギンでした。すでにほぼ全羽がペアを形成していたのでぽんはこの先ずっと独り身で生きていくのかと思っていましたが、2021年にペアの相手を亡くしたイズミという個体が死別後数日でぽんに急接近。

この個体はなかなかクセのあるペンギンで、ぽんもぐいぐい来られるのを嫌がって小突いたり距離を取ったりしていたのですがそれでも粘り強く、ぽんが私の元へ来ている時にイズミは私をライバルと思ったのか突きに来るんですよね。
イズミのいた場所から離れていても、ぽんが動き出せばそれに合わせてイズミもやってくる。そして私が突かれる。
そうこうしているうちに気づけばぽんとイズミがくっついてたんですよね。

最初こそ私が給餌や掃除で舎内に入るとぽんは寄ってきてたんですが次第にその回数は減り、いつしか近づいたらイズミとともに威嚇されるようになってしまいました。
巣の周りを掃除しているとき、珍しくぽんが寄ってきたなと思ったら上唇をツンッといかれて一時期唇が3つに分かれてたこともありました・・・(笑)

そしてぽんとイズミの間には新たな命「テツ」が誕生。

いろいろありましたが率直な感想としては、人間にベタベタだったペンギンが自立してペアを見つけ、命を繋ぐことができたというのは飼育員として喜ばしいことだと思っています。
やはりペンギンにはペンギンらしく生きてほしいですからね。

少し寂しさもありましたが、1羽のペンギンの自立を近くで見続けることができたこの経験は、私にとって大きなものです。

ぽんちゃん、お誕生日おめでとう。
これからもペンギン団地の一員としてよろしくね。

私も飼育員として、彼らが幸せを感じられる環境づくりを追求し続けます!

飼育学芸員
フジ