とあるカピバラのクセ
1月がもう半分過ぎましたね。
みなさんはいかがお過ごしですか?
私は年末ごろから持病の喘息に苦しめられており、最近ようやく咳は落ち着いてきたのですが疲労で肋骨にヒビでも入ったのか、大きく息を吸うたびいろんなとこの痛みに苛まれてます・・・(笑)💦
まぁ、これも無理しなければそのうち治ることでしょう!
それはさておき、私たちの仕事は動物たちのお世話です。
これはおうちやプールの掃除をしたりごはんを作ってあげたりすることですが、生活環境を整えるだけでなく彼ら彼女らの行動をじっくり観察して異常の早期発見や考えを理解しようと努めるのも大切なお仕事です。
そうやって動物たちの行動観察をしていると、たまにおもしろいクセを目にすることがあります。
当館で暮らすオスのカピバラ、バァラくんにはこんなクセがあります。
そう、こんな感じで足を組むんですよね。
これはこのときたまたまやっていたわけではなく、落ち着く場所でゆったり過ごすときによくやっています。
私たちは動物たちと会話をすることはできませんし、目を見ただけで相手が何を考えているのかもわかりません。
「飼育員やってんのにそれかよ」と思いたくなるような書き方かもしれませんが、言葉でやり取りができない以上何年飼育に携わらせてもらっても完全に理解するのは極めて難しいことです。
しかしそれだと飼育員は務まりません。
私たちは動物たちのおかげでごはんを食べさせてもらってますし家族を養っています。
そんな動物たちのことを可能な限り理解し、毎日健康に幸せに暮らせる環境を整えるのが私たちの責務です。
では、言葉でやり取りできない相手を理解するにはどうすれば良いのか?
答えは「とにかく観察すること」と「疑問を持つこと」です。
私たちの前でころんと寝転んだら「なぜ今寝転んだんだろうか?」と疑問を持ってその理由を考えてみたり、鳴いたら「その鳴き声はどう言った時に発するんだろうか?」と疑問を持ってみたり。
噛んできたときも「なぜいきなり噛んできたのか?」「どういった時に噛んでくるのか?」を考えてみます。
バァラくんの足組もそうですね。
とにかく行動をひとつでも多く見て疑問を持ちその理由を考えてみる。
最初に考えた理由が後々違ってたなぁってわかってきたらまた別の理由を考える。
それを繰り返していくうちに「その行動をするときの気分や理由、感情」をかなり狭い範囲まで絞り込むことができるようになります。
行動を見て考えれば考えるほど相手の考えに近づくことができますし、だからこそ私たちにとって観察することはとても大切なことなんです。
動物たちを見続けると相手の考えに最も近い考えを持つことができるようになってきますし、たまにするおもしろい行動をお客さんにお話しすると動物たちをじっくりみる機会を提供することにも繋がります。
そしてなにより病気や異常の早期発見につながることもあります。
動物と心の距離を近づける方法は、いきなり手を差し出すのではなく相手の行動をよく見て理解しようとすること!
桂浜水族館は動物たちとの距離が近い施設なので、訪れた際はぜひ動物たちの行動をよく見てその理由を自分なりに考えてみたりおもしろい行動やクセをたくさん見つけたりしてみてください😆
飼育学芸員
フジ