「動物たちと共に生きる世界を目指して」
〈動物愛護週間7日目〉
私は「水族館の飼育員」という立場で動物たちと接しています。
24時間常に一緒にいるわけではありませんが、現在担当しているあるいは過去に担当していた動物たちが限られた環境の中でどのような刺激を受け、楽しみを見つけ、心身ともに健康でいるには何をすべきなのかについていつも考えながら向き合っています。
水族館にいる動物は来館者にその種への理解を深めてもらうためやおもしろさ・魅力を発見してもらうため、そして命の尊さについて知ってもらうため私たちが自然から頂戴してきた命です。
水族館生まれ水族館育ちの動物たちは自然から直接頂戴した命という枠には入りませんが、本来日本にいない種も多く、実際の匂いや鳴き声などを体感してより広い世界の動物たちにも興味をもらうためのきっかけとして共に働いている大切な命ですね。
水族館で働く私たちが理由を持って手にしている命であるため適切な飼育に心がけるのはもちろんのこと、飼育している動物のおもしろさや適切な距離感、種ごとの現状についてしっかりと伝えていくことが私たちの使命でもあります。
とはいえ、一方的な熱量で物事を押し付けても人の心を動かすことはできません。
水族館は社会教育施設ですが楽しく動物との距離を感じていただく、つながりの場所でもあります。
掲示物で伝える、お話をさせていただく中で伝える、動物との姿を通して伝える、様々な方法で動物たちのことをお伝えし、将来的に動物と共生できる社会の実現について共に考えていただける方の輪を広げていければと考えています😊
水族館への来館をきっかけに新しい扉を開けていただける方がひとりでも増えれば幸いです。
飼育学芸員
フジ