ルールを守って楽しみ、学ぼう!
前回はこちら。
早速ですが、ウミガメにごはんをあげるときに守っていただきたいルールは以下の通りです。
⚠️ウミガメに手や物を近づけない。
迫力ある瞬間を写真に収めようと顔の前にスマホやカメラを持って行くと噛まれてしまう可能性があります。
また慌てた際に落とした物を動物が飲み込んでしまえばそれが命を奪うことにもつながります。
ただし、エサやり体験用のトングは近づけてもらっても大丈夫です!
⚠️ウミガメに触らない。
近づけるだけでなくウミガメにタッチ、これは絶対にダメです。詳しい理由は下の方で書いていきますのでそちらもご一読ください。
⚠️排水溝に落ちたエサを拾わない。
せっかく買っていただいたものですが、ウミガメの口に入らず排水溝に流れていったものは無理に追いかけないでください。
柵を乗り越えて伸ばした手にウミガメが噛み付いてくることもあります。
タートルズ・スリラーのチャンスは2回!(配合飼料は3回)
前回はウミガメに対してよく持たれているであろうイメージといえば「ゆっくり動く」「おっとりしている」などですが、ごはんを前にしたウミガメはそういったイメージを覆すほどの迫力や力強さがあるということについて書かせていただきましたね。
誰もがそういったイメージのまま水族館でウミガメと対面しますが、なかには「ウミガメは怖くないし触れそうなところにいるから」と不用意に手を伸ばして頭や体を触っている方を見かけることもあります。
過去には自分の小さな娘さんにかっこいいところを見せたかったのか、池のウミガメを掴んで引っ張り上げようとしているパパさんもいましたね😅
さすがにこちらの血の気が引きました・・・。
ウミガメの噛む力は強力です。
それは自然の中を生きていくためになくてはならない力だからです。
しかしその力で人が噛まれてしまったら・・・。
とっても危険です。
…と言葉で「危ない」と書くことはできますが、実際どれだけ危ないのかは経験してみなければわからないことも多々ありますよね。
私たちのように飼育員として働いていると、ないに越したことはありませんが直接飼育している動物に噛まれてしまうことはあります。
私は小さめのアカウミガメに指を噛まれたことがあって、そのときは爪が割れました。
また噛むのとは別にウミガメの爪も鋭利で、力強く脚を動かしている時にその爪が手に当たるとスパッと切れてしまいます。濡れているうえにそこそこ深く切れるので止血が大変な時もあるんですよね。
ウミガメのエサやり体験用にトングを置いていますが、鉄製のトングはウミガメの顎によってぐにゃりと曲がっていますし、大きな個体が獲物に食いつく勢いで人間の手に噛みつけばもう大事です💦
冒頭で書いたルールに「ウミガメに触らない」とありましたが、不用意に手を出して万が一噛まれようものなら人間の指の骨なんていとも簡単に噛み砕かれることでしょう🩸
ただ、動物たちに悪気はありません。
悪意はありませんが生身の人間が太刀打ちできない力を持っているからこそこちらも接し方についてよく知り適切な距離感を保たなければなりません。
「噛まれなければいいんだろ」は通用しません。
ここ数年、ビーチに出現したイルカに噛まれたなど人と野生動物との間で生じた問題をニュースで見かける機会もありますが、頭の中だけのイメージではなくその動物に対する正しい知識を身につけ、接し方や距離感についての理解を深めればこういった問題は減っていくのではないかと思います。
(これは飼育員として働く私たちにも言えること、むしろ誰よりも理解しておかなければならないことですね。)
それを知っていただくきっかけとして、水族館でできるふれあいイベントやエサやり体験はとても重要な機会だと思いますしその体験を通して楽しみながら動物のおもしろいところや不思議なところ、私たちにとって怖いと感じる一面から適切な距離感について知っていただければと思います!
飼育学芸員
フジ