366 (再)釣り勝負番外編⑮陸釣り

  私は陸釣りでも、相棒に完敗だった。彼は水族館にアルバイトに来た、クリクリ瞳の“ヒトミちゃん”にひと目惚れ。速攻で釣り上げた。それに対して私は、学生時代の文通から足かけ七年もつきあって、もう私のものと思い込んでいた彼女を釣り逃がした(ことわざ①逃がした魚は大きい)。特徴的な四角い前歯(出っ歯ではない)と、すぐにふくれる丸顔がイメージに合うところから、ひそかに“ルブちゃん(トラフグの学名のrubripesより)”と呼んでいた娘だったが、「釣り上げた後の餌(生活)をどうするか(ことわざ②釣った魚に餌はいらない)」と悩んでいるうちに、見知らぬ男にさらわれてしまった(⑪天国から地獄・343桂浜への道⑭彼女・⑮DNA)。ナサケナーイ。それだけではない。失恋等で生活が乱れ、体調を崩しかけていた私を見かねた下宿のおばさんが作ってくれた朝食(これが撒き餌だった)を食べているうちに「うちの婿になりなさい」と売れ残りの娘を押し付けられた(ことわざ③残り物に福がある)。つまり私は“釣られた釣り師(⑳釣られた飼育員)”なのである。ナサケナーイ。ついでだからもう一つ、ロリコンの私(315鳥カゴより⑭ロリロリウオッチ)にはバカ息子が二人なのに、相棒はクリクリ瞳の娘が二人。グヤジー、グヤジー、グヤジー!。   思い返すに、相棒との勝負は完完完敗!。釣り勝負では私を打ちのめしたが、自らは肝癌に勝てず、私にリベンジのチャンスさえ与えてくれずに先立ったのである。