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絶滅危惧種への理解を。〜絶滅危惧種の日〜

本日9月7日は『絶滅危惧種の日』です。
1936年9月7日、オーストラリア・タスマニア州にある動物園で飼育されていた地球上最後の1頭であるフクロオオカミが死亡したことにより絶滅、その60年後となる1996年9月7日に絶滅危惧種に対して理解を深めてもらうことを目的にこの日が制定されました。

絶滅危惧種とは、絶滅の恐れが極めて高い動植物のことをいいます。

生命が絶滅するということ自体はこれまで何度も繰り返し起こっており、ある時期に多数の生物が同時に絶滅する大量絶滅は過去に5回起こったと考えられています。
主な原因としては、自然に起きた地球環境の変化(地殻変動火山の噴火とそれによる寒冷化など)や隕石の衝突が挙げられ、例えば前回の大量絶滅(5回目の大量絶滅)では大きな隕石が衝突したのをきっかけに1億数千年にもわたって繫栄してきた恐竜をはじめとした多くの種が地球上から姿を消しましたし、過去最大の絶滅といわれるペルム紀末の大量絶滅(3回目の大量絶滅)ではその原因こそまだはっきりとわかっていませんが当時存在していた生物の90%以上が絶滅したとされています。

しかしそれぞれの絶滅においてそれを乗り越えた生物たちがいたことも確かです。
生息環境を変えたことによって影響をほとんど受けずひっそりと生き残った種もいれば、変わってしまった環境に適応する形で生き残った種もいます。自然によって引き起こされる大きな絶滅は、空いてしまった穴を埋めるかのごとく生き残った種に進化をもたらしました。
そしてその先に私たち人類が誕生しました。

ただ、現在は6回目の大量絶滅の時代を迎えつつある言う科学者も多く、その原因は自然によるものではなくなんと私たち人間によって引き起こされようとしているのです。

これまで人類は自分たちの生活をより豊かにするべく様々な形で自然環境に手を加えてきました。
その結果、開発による野生生物たちの生息地破壊乱獲自然資源の過剰利用環境汚染病気の持ち込み外来種の導入、人間の活動によって引き起こされる地球環境の変化などが野生生物に大きな悪影響を与えました。
その影響によって数を減らした野生生物や絶滅に追い込まれて地球上から姿を消していった種は枚挙にいとまがありません。
また人間によって引き起こされつつある絶滅はこれまでの絶滅よりも早いスピードで進んでおり、かつ新たな進化ももたらされているとは言えない状況であるため非常に深刻です。

「生きものはたくさんいるしたった1種くらい、たった数種くらい減ったって別にそこまで関係ないんじゃ・・・」
そう考える人も中にはいるかもしれません。
しかし地球上で生きる生物たちの関係というのはとても複雑なバランスによって成り立っているため、ある種の絶滅が別の種に影響を及ぼし、その影響が波及してうまくできていたバランスが崩壊、それが私たちの生活に大きな影響を与えることもつながります。

今を生きる私たちに直接的な影響がなかったとしてもその先を生きる私たちの子や孫、さらに未来の子孫たちが生きる地球では悲惨な日常が待っているかもしれません。
そんな未来を託すわけにはいきませんよね。
なにより同じ地球で生きる生物たちを身勝手な理由で絶滅に追い込んでいいはずがありません。


では、私たちにできることってなんなんでしょうか?
身近なところからできることは絶滅の危機に瀕している生物について、どういった生物がおりなぜ数を減らしているのかについてまずは知ることだと思います。
知ることによってその生物に対する理解は深まりますし、守るための取り組みについて知ることもできればその先の行動にもつながります。
1人でも多くの人が野生生物たちの置かれている現状に目を向け、これ以上数を減らさないようにするためには何ができるのかを考え行動をするようになればきっと大きな力となり到来しつつある大量絶滅も回避できるはずです。

知るきっかけとしてこのような日も設けられておりますし、動物園や水族館でも絶滅の危機に瀕している生物を飼育展示しながら現状の発信を行なっておりますのでぜひご活用ください!

次回は絶滅危惧種についてもう少し詳しく触れた記事を書かせていただきますので、そちらもぜひご覧ください😊

飼育学芸員
フジ