見出し画像

ゴンズイ《展示動物解説》

桂浜水族館の生きもの観察をもっとおもしろく、もっと詳しく‼️
こちらでは水槽周りの魚名板で紹介しきれなかった生きものたちの魅力を掘り下げていきます❗️

※生体の健康状態や展示替え等によって展示終了となりご覧いただけない場合もあります。ご了承くださいませ。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

◆標準和名 ゴンズイ
◆学  名 Plotosus japonicus
◆分  類 ナマズ目ゴンズイ科

◆地方名(高知での呼び名) ググ

展示解説文(土佐弁)
高知ではググともいい、夜に堤防で釣りをしちゅうと釣れるぜよ。
外道として扱われちゅう魚で毒のあるトゲも持っちゅうき気ぃつけんとだめちや。
けんど食べることができてフライがうまいがよ!

◆標準語訳
高知ではググともいい、夜に堤防で釣りをしてると釣れるよ。
外道として扱われてる魚で毒のあるトゲも持っているので気をつけないとだめだよ。
けど食べることができてフライがうまいんよ!

◆解説
海に住むナマズの仲間で口の周りには4対8本のヒゲを持ちます。
茶褐色の体をしており体側には2本の黄色い線があります。

胸ビレと背ビレには毒のある鋭いトゲを持ち、刺されると激痛が走ります。
死んだ後も毒は残るため、釣り上げた時は注意が必要ですね。
なお、この毒は熱に弱いたんぱく毒であるため60℃以上の熱湯で毒成分が分解されます。刺されてしまったときはやけどしない熱さのお湯に患部をつけることで痛みが和らぎます。とはいえ、そうならないようにするためにも不用意に触れないことが最善ですね。

幼魚は群れて泳ぐ習性があり、その数があまりにも多いことから集まったゴンズイたちが球状の塊に見え、その塊は「ゴンズイ玉」とも呼ばれています。成魚もかたまって泳ぐことはありますが幼魚ほどの群れは形成しません。

これは全長15cmほどの個体たちです。

夜行性で沿岸の浅い岩礁域に生息しており、堤防や砂浜での投げ釣りなどで釣ることができます。夜釣りでは手元が見えにくくなるためかかった時は要注意です。
外道として扱われることの多い魚ですが、毒棘を適切に処理すれば美味しく食べることができます。肉は白身でフライや唐揚げにするとおいしいですし、煮つけやみそ汁に入れて食べられることもあります。

日本に生息するゴンズイは近年まで1種類だけとされていましたが、2008年に本州・四国・九州に分布するものと主に琉球列島に分布するものの2種に分けられました。本州・四国・九州に分布するものは新種として新たな学名が付けられましたが標準和名は従来の名である「ゴンズイ」が継承されました。それがこのページでご紹介しているこのゴンズイです。
一方、琉球列島に分布するものは従来のゴンズイ(旧ゴンズイとでも言いましょうか)に付けられていた学名を継承し、新たに「ミナミゴンズイ」という標準和名が付けられました。

従来
ゴンズイ(Plotosus lineatus)

現在(2008年~)
ゴンズイ(Plotosus japonicus)※2008年に新種として登録。
ミナミゴンズイ(Plotosus lineatus)※従来のゴンズイ(旧ゴンズイ)の学名を継承。

◆スタッフコメント
ゴンズイには思い出がありまして、幼少期に三重県に海水浴へ連れて行ってもらったんですよね。横に長いビーチではなく湾のようになったビーチで岩場もあり「ここには魚いそうだな~」と思いながら網とバケツを持って水面をのぞき込んでたんですよ。そしたら塊で泳ぐ魚を見つけて何か分からないけど妙に心惹かれそれをすくいあげたんです。それで1匹手に取ってみたものの何の魚か分からず近くにいた監視員のおっちゃんに聞いてみたところ「これはゴンズイっちゅう毒を持つ魚や」とのこと。小さいうちはそこまで毒は強くないけど大きいやつに刺されるとめちゃくちゃ痛むから気ぃつけやとのことでそのままバケツをひっくり返してリリースしました。
そのときはゴンズイの成長した姿を知りませんでしたが、海に行って塊で泳いでる魚には気をつけなければと学んだ幼い日の体験でした。
ちなみに、釣りがとにかく下手な自分でも一度は釣ったことあって、食べるとおいしかったです(^^)

飼育学芸員 フジ