イサキ《展示動物解説》
桂浜水族館の生きもの観察をもっとおもしろく、詳しく‼️
こちらでは水槽周りで紹介しきれない生きものたちの魅力を掘り下げていきます❗️
※生体の健康状態や展示替え等によって展示終了となりご覧いただけない場合もあります。ご了承くださいませ。
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◆標準和名 イサキ
◆学 名 Parapristipoma trilineatum
◆分 類 スズキ目イサキ科
◆地方名(高知での呼び名) イセギ、シャクアジなど
◆展示解説文(土佐弁)
高知ではイセギというて初夏から秋口にかけて磯釣りや定置網で捕れらぁよ。
姿も上品なけんど味もうんと絶品ぜよ。
夏にうまい魚で、刺身や塩焼き、煮つけにフライとなんでもうまいぜよ。
◆標準語訳
高知ではイセギといって初夏から秋口にかけて磯釣りや定置網で捕れるよ。
姿も上品だけど味もうんと絶品だよ。
夏においしい魚で、刺身や塩焼き、煮つけにフライとなんでもおいしいよ。
◆解説
標準和名はイサキですがイサギと呼ぶ地域も多く、鮮魚コーナーではその名で売られているのを見かけることがあります。
漢字は伊佐木という字があてられますが鶏魚という字が使われることもあり、一説にはイサキの背ビレが鶏のとさかに似ていたからだと言われています。
幼魚と成魚では見た目が異なり、幼魚の体には黄色い縞模様があります。
成長するにつれこの縞模様は薄れていき、成魚は黄土色の体になります。
幼魚はその見た目がイノシシの子ども「うり坊」に似ており、この時期のイサキをウリボウと呼ぶ地域もあります。
旬は夏で、たんぱくな白身がおいしい魚です。
食べ方は刺身に塩焼き、煮つけにフライ、酢物と幅広く、手に入りやすい魚でもあるので「食べたことある!」という方も多いのではないでしょうか?
黄色いイサキ!?
通常のイサキもやや黄色味を帯びていますが、こちらのイサキは真っ黄色ですね。
これは遺伝子の異常が原因ではないかと考えられており、イサキに限らずこういった個体は他の動物でもまれに存在します。
皮膚や毛、目などの色を作る色素はメラニン(またはメラニン色素)といいますが、この色素が生まれつき少ないまたは作られない遺伝性疾患を持った個体はアルビノと呼ばれ、メラニンがないか限りなく少ないことから皮膚や毛などは白くなります。また虹彩の色素もそのような状態であるため目の血管が透けて赤い目をしているように見えるのも特徴のひとつです。
例を挙げると、ウサギと聞いたら多くの人が真っ先にイメージするであろう白い体に赤い目をしたウサギ(日本白色種)がそれですね。
虹彩(こうさい)
眼球の色がついている部分のことを虹彩といいます。多くの日本人は虹彩の色が茶色ですね。また、虹彩の真ん中にある黒い部分は瞳孔(どうこう)と呼ばれます。
一方、遺伝子の突然変異により皮膚や毛などの色が白色や黄色、黒色をしたものもいます。白いものは白変種、黄色いものは黄変種、黒いものは黒変種と呼ばれ、これらはいずれもメラニンを作る機能自体は持っているのですが色素が少なかったり多すぎたりすることによってこのような色になります。
ただし先述の通りメラニンは正常に作れるため目は黒い色をしています。
アルビノと白変種、ともに白い体でどっちがどっちだってなりますがここが大きな違いですね。
ちなみによく知られる白変種の動物はホワイトタイガー(ベンガルトラの白変種)やシロクジャク(インドクジャクの白変種)などで、黒変種の動物であればクロヒョウ(ヒョウの黒変種)ですかね。
そしてこちらで紹介している黄色のイサキは黄変種です。
動物たちの体の色には周囲に溶け込み獲物の目を欺いたり身を隠したりする目的があると考えられていますが、本来の色ではない白や黄色の体だとどうしても目立ってしまい野生では長生きするのが難しいとも考えられています。
◆スタッフコメント
スーパーでも見かけることのある魚で比較的安く買えますが、大きな個体は値段も高くなります。夏が旬で上質な味が楽しめますし、自分にとっては味が好きな魚のひとつですね。
飼育学芸員 フジ