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あの日までの道のり、あの日からの道のり「(9)植物研究と植物園就職」

「植物に囲まれた数年間」

在学中、サークルなどに入っていなかった私は勉強以外に何か取り組んだといえる活動をしておきたいと思い、大学側から送られてくる地域連携などの案内を見ていました。

その中にひとつ、興味を惹かれるものがありました。
『なにわの伝統野菜「吹田くわい」の収穫ボランティア募集』

なにわの伝統野菜は大阪府内で100年ほど前から独自に栽培がされてきた野菜で、そのうちのひとつが大学のある地域で栽培されていました。
畑仕事の経験もあったことから「これはおもしろそうだ!」と思いボランティアに参加。これが結構楽しく、この野菜についてもっと深く知りたい!と感じその後採れた野菜を販売するお祭りにも参加しました。

そういった活動に1回生の頃から参加していたら気づけば学内で吹田くわいの活動に最も従事している学生となっていました。

4回生の頃、吹田くわいの苗を農家さんからいただき学校内にバットをいくつか置いてその中で栽培をすることになりました。
初となる学内栽培。その目的は吹田くわいがどう成長していくのかを観察し記録することでした。
バット内に土を入れて水をはり、根が絡み合わない感覚で吹田くわいの苗を植えていきます。
くわいは地下部分にある根の先が膨らんだ塊茎(かいけい)と呼ばれる部分を食用としていますが、その根を傷つけるとどのように成長していくのかがわかりません。
大学には植物学の先生もいらっしゃったため、先生のお力を借りながら毎月くわいの苗を掘り起こして成長の写真を撮っていきました。
そうしているうちにどのくらいの時期から根の部分が膨らみ始めるのかや花が咲き種が作られることなどがわかってきました。
12月にバットから苗を引き抜いて収穫を行いましたが収穫の時お世話になっている農園さんのものと比べ塊茎は小さめ。土の質なのか深さなのか?いろいろ気になるところですが翌年も学内栽培を行うのであればやってみることは土の質を変えたら地下部分の変化はどうみられるのか?
次はその変化の記録を目標に取り組むことにしました。

とはいえ、この時点で私は4回生。しかもあと数ヶ月で卒業という時期。
就職先が決まっていれば残りを後任に託してゆっくりと過ごせる時期でしたがそのときの私は就職先が決まっていませんでした。
というより、3回生の終わり頃から一般企業への就活はほとんどせず水族館の募集が出れば応募し、それ以外は学内での活動や他のところで入っているボランティア活動に勤しんでいました。
正直焦りはありました。
「今しかできないことをやっている」「確実に知識や経験は積めている」、自分にそう言い聞かせていましたが周りは就職先が決まり自分は応募しては落ちての日々。
一般企業に就職してしばらくしてからまた水族館業界を目指すという手も考えましたがもう少し足掻きたい、そんなこんなで年が変わり卒業目前となっていました。

「あと1年で結果を出す!出せなければ考えを改める。」

あと1年わがままを許してもらいました。
今思い返してもこのときわがままを許し応援までしてくれた両親には感謝しかありません。
ただ無職というわけにはいきません。どこかでパートとして働きながら就職活動を続けることにしました。

あるとき求人の広告を見ているとたまたま植物園のガーデンスタッフ募集という言葉を目にしました。
在学中は植物に携わることもしていたし「生物」という広い分野では今後のための大きな経験が積めるかも!そう思い応募したところありがたいことに採用をしていただきました。
卒業式の3日前に入社した植物園。
同期として入った方も同じくパートとして働いていた先輩方も皆働いていた会社を定年退職された方々で、その中に卒業間もない若造が飛び込むことになりました。

《(10)に続く》

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